同人誌の印刷所の選び方|料金・早割・締切・仕様で比べるポイント
同人誌を作るうえで印刷所選びは大切なステップです。料金・早割・締切・仕様・サポート体制など、比べるポイントが多くてどこから手をつければいいか迷いがちです。この記事では、印刷所を選ぶときに見ておきたい軸を順番に整理します。各印刷所の料金・締切・仕様は時期によって変わることがありますので、必ず利用する印刷所の公式サイトで最新情報を確認してから発注を進めてください。
印刷所を選ぶ主な軸
印刷所を比べるとき、一度にすべてを確認しようとすると情報量に圧倒されます。まず「自分が今回の本で優先したいこと」を決めてから比較すると選びやすくなります。代表的な軸を以下にまとめます。
料金・セット内容
多くの印刷所は「おまかせセット」と「個別指定プラン」の2種類を用意しています。おまかせセットは用紙や加工の組み合わせをあらかじめパッケージ化したもので、細かい仕様を選ぶ手間が省けます。初めての入稿や、仕様にこだわりがない場合はおまかせセットが使いやすいです。一方、表紙の紙や加工(PP加工・箔押しなど)を自分で細かく指定したい場合は個別指定プランを選びます。
料金はセット内容・部数・ページ数・締切区分によって大きく変わります。同じ部数・ページ数でも、印刷所や締切区分によって数千円以上の差が出ることがあります。複数の印刷所で見積もりを取り比較することを強くおすすめします。各印刷所の公式サイトには見積もりシミュレーターが用意されていることが多いので積極的に活用しましょう。
早割の有無と締切区分
同人誌印刷の料金体系では、入稿が早いほど料金が下がる「早割」が設けられていることが多いです。同じ部数・仕様でも、早割を利用できるかどうかで料金が大幅に変わることがあります。早割を狙うためには、イベント日から逆算して原稿スケジュールを立てることが重要です。
締切区分は「超早割」「早割」「通常」「特急」のように複数段階に分かれていることが多く、段階が早いほど料金が低くなります。逆に、入稿が直前になる特急は割増料金がかかる場合があります。スケジュールを組むときは「何日に入稿すればどの締切区分になるか」をあらかじめ公式サイトで確認しておきましょう。締切は印刷所・イベントごとに異なります。
対応している仕様の幅
本のサイズ(A5・B5・A6など)、ページ数の下限・上限、対応している紙の種類、加工(マットPP・グロスPP・箔押し・活版印刷など)の有無は印刷所によって異なります。作りたい本のイメージがある程度決まっている場合は、その仕様に対応しているかどうかを最初に確認してください。
特殊加工(箔押し・エンボス・遊び紙など)を希望する場合は、対応している印刷所が限られることがあります。また、ページ数が少ない薄い本(32ページ以下など)は対応できない場合もあるため、製本形式(中綴じ・無線綴じ)とあわせて確認しましょう。
イベント直接搬入への対応
コミックマーケットや各地の即売会にあわせて、印刷所がサークルのスペースに直接本を届ける「直接搬入(会場搬入)」サービスを利用したい場合は、対応しているイベントと料金を確認しておきましょう。すべての印刷所がすべてのイベントに対応しているわけではありません。また、直接搬入には通常の入稿より締切が早いことが多いです。
初心者サポートと無料テンプレート
入稿が初めての方にとって、データの作り方がわからないというのは大きなハードルです。印刷所の公式サイトには「入稿ガイド」や「よくある質問」が掲載されていることが多く、IllustratorやPhotoshop、Clip Studio Paintなど使用ソフト別の解説ページが用意されているところもあります。
また、表紙や本文のサイズ・塗り足し・解像度が設定済みの無料テンプレートを配布している印刷所も多くあります。テンプレートを使えばデータ作成の最初のハードルを下げることができます。初めて利用する印刷所では、入稿ガイドとテンプレートが充実しているかどうかも選ぶポイントの一つです。
部数と単価の関係
同人誌の印刷費は、部数が増えるほど1部あたりの単価が下がる構造になっています。たとえば50部と100部では1部あたりの価格が大きく違うことがあります。ただし部数を増やすほど総額も増えるため、「何部売れそうか」「在庫を抱えるリスクはどのくらいか」を考慮して部数を決めることが大切です。
部数を決めるときは、複数の印刷所・複数の部数で見積もりを比較することをおすすめします。印刷所によって部数ごとの単価の下がり方が異なるため、少部数なら別の印刷所のほうが安い、という逆転現象が起きることもあります。また、増刷を前提にするなら、同じ印刷所で増刷できるか・データの保管サービスがあるかも確認しておきましょう。
原価と頒布価格の試算には、このサイトの同人原価・価格試算ツールが役立ちます。
初心者がつまずきやすいポイント
入稿形式のルールが印刷所ごとに違う
入稿できるファイル形式(PDF・PSD・AI・CSP形式など)、カラーモード(CMYKかRGBか)、解像度の指定は印刷所ごとに異なります。「以前別の印刷所で入稿した設定のまま使い回せる」と思っていたら対応していなかった、という失敗を防ぐために、毎回その印刷所の入稿ガイドを確認する習慣をつけましょう。
締切区分の名称と定義が違う
「早割」「超早割」という名称の意味する締切日数は印刷所によって異なります。ある印刷所の「早割」が別の印刷所では「通常」に相当する締切日数だった、ということもあります。スケジュールを立てるときは名称だけで判断せず、具体的な入稿日と料金を確認してください。
オプションの意味がわかりにくい
「PP加工」「遊び紙」「見返し」「ミシン目」など、印刷・製本の用語は初めて見ると意味がわかりにくいものが多いです。各印刷所の公式サイトにはオプションの説明ページが用意されていることが多いので、注文前にひととおり確認しておくと安心です。わからない用語があれば印刷所のサポートに問い合わせるのも有効です。
ノンブル・トンボ・塗り足しの設定
本文データにはページ番号(ノンブル)を入れること、表紙データにはトンボ(仕上がりサイズを示すマーク)や塗り足しを設定することが求められます。印刷所のテンプレートを使えばこれらの設定が最初から入っているため、テンプレートを使わずに自分でキャンバスを設定するよりもミスが起きにくいです。特に初回は必ずテンプレートを使うことをおすすめします。
自分に合う印刷所の選び方
初めての同人誌を作る方へ
初めて同人誌を印刷する場合は、入稿ガイドが丁寧でサポートが充実している印刷所を選ぶことをおすすめします。ソフト別の入稿マニュアルが用意されている、テンプレートが豊富、メールや電話で問い合わせに対応している、といった点が重要になります。おまかせセットを選べば仕様で迷う部分も少なくなります。
仕様やクオリティにこだわりたい方へ
使いたい紙や加工が決まっている場合は、その仕様に対応している印刷所を先に絞り込み、そのなかで料金・締切・サービスを比べるのが効率的です。特殊加工や少部数への対応、見本誌サービス(刷り見本を送ってもらえる)の有無なども確認するポイントです。
コストを重視する方へ
料金を抑えたい場合は、早割を活用できるよう原稿スケジュールに余裕を持たせることが有効です。また、同じ仕様で複数社に見積もりを依頼して比較すると、思わぬ差が見つかることがあります。セット内容のコストパフォーマンスも印刷所によって異なるため、単純に「安い印刷所」ではなく「自分の仕様で安い印刷所」を探すことが大切です。
印刷所選びに正解はなく、使ってみて自分に合うかどうかわかることも多いです。最初の1冊は使いやすさを重視して選び、経験を積みながら自分に合う印刷所を見つけていきましょう。なお、各印刷所の料金・早割・仕様・締切は変更されることがあります。発注前には必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。